デシル分析 このお客様がお店を支えている
デシル分析表
お客様を累積購買額の多い順から並べ、10等分して10のグループに分けます。
このお店場合、登録した総客数は1,503人です。
よって、各デシルグループに属する人数は、150人です。
購入金額 : その150人の総購入金額
平均購入金額 : 各デシルグループの一人当たりの購入金額
平均購入単価 : お客様一人当たり1回来店で購入する購入金額の平均値
デシル分析表を見て分かる事
- 上位10%(順位1)のお客様でお店全体の売上の約40%
上位40%(順位1~4)のお客様で約80%を占めている
つまり、全顧客1,500人をリピートさせて得られる売上と上位600人をリピートさせて得られる売上は、そんなに変わらないということです。
だったら、上位に絞った方が、販売コストと労力を抑えることになります。 - お客様全体の平均の購入単価が1,973円なのに対し、
上位10%のお客様の平均購入単価は、2,915円(約1.5倍)
下位10%のお客様の平均購入単価は、493円(約0.3倍)
このことは、同じ販売コストを使い購入してもらっても、お客様によっては採算が合わない場合があるということです。 - お客様全体の平均購入額購入額が4,224円なのに対し、
上位10%のお客様の平均購入金額は、17,974円(約4倍)
上位10%~20%のお客様の平均購入額は、6,381円(1.5倍)
このことから、上位10%のお客さまは、圧倒的に他のお客様より購買力があることが分かります。
この上客が客離れを起こしたら、大変なことになることは言うまでもありません。
お客様ランキング
- 顧客表示をすると、その顔ぶれが出てきます。
その名前の中には、「やはり!」と肯けるお客様もいれば、「へぇー!?」と驚くお客様がいるはずです。
大事なのは、このお客様をまず認識し、日頃の対応(接客)を特に注意をする事です。
このお客様を失うことで売上ダメージは、他のお客様ではカバーしきれません。
- そのお客様の状態を見てみましょう
- お客様の最近の購買動向と状態がよく分かります。このお客様は、コンスタントに買い物をしてもらっているようです。
もし購入額が減ってきていたり、最近来店していないようだったら、何か手を打つべきですね。
RFM分析 お客様の動きがより鮮明に
RFM分析とは
RFM分析とは、「良いお客様を見分ける」ための手法の一つです。
簡単に説明すると、RFM分析は、お客様の
R: 一番最近買い物に来た日はいつか?
F: 今までに何回購入(来店)しているのか?
M: 今までにどのぐらい購入しているのか?
という3つの側面から分析する手法です。
一般的には、それぞれの項目を5段階評価し、RFMのそれぞれの項目で最も高いランクの555のお客様が最も良いお客様だと考えるのです。
反対に111のお客様は、お客様といえるかどうかも含めて考える必要があります。
たとえば、ダイレクトメールを今後購買見込みのない111のお客様に送り続けることは経費の無駄遣いであることは誰が考えても分かることです。
まずは、RFMの各ランクに属するお客様の人数とその構成比を見てみましょう。
RFM分析表を見て分かる事
例えば、511のお客様を検討してみましょう。
このお客様は今日か昨日という直近に購買しているわけですが、購買頻度が低く、購買金額も少ないのです。
この場合、これからFとMが上がってくる可能性があるお客様と考えることが出来ますので、頻繁に購入してくれるが購買力が低い551のお客様よりは将来性があるかも知れません。
また、155というお客様の場合、購買頻度も購買金額も高いポイントですが、最近はめっきり購入してくれていないことになりますので、競合他社に奪われてしまったお客様と考えることも出来るのです。
その他にも、333や234など様々な数値でお客様が分類されますが、RFMの数字を見ていくことで、将来お店の収益に貢献してくれるお客様またはそうなるであろうお客様か、あるいはそうでないお客様かがある程度判断できるわけです。
そして、肝心なのは、良いお客様になる可能性が高いお客様を見つけ555に近づけることと、将来企業収益に貢献してくれる見込みの客を見分けることなのです。
RFMの持つ意味
■Recency(リセンシー):最新購買日 リピート確率
購入してから時間が経過していないということは、企業や商品についての記憶がしっかりと残っているということで、企業が営業的なアプローチを行う場合、既に記憶に残っていないお客様に対して行うより高い効果が期待できるのです。
もちろん、リセンシーだけでも、各月の購買お客様数実数を知ることなど様々な情報を得ることが出来ます。
- Rが今日の日付に近いお客様ほど再購入する傾向が高い。
- Mが高くてもRが過去になればなるほどそのお客様の再購入する傾向が低くなる。
- Fが多くてもRが過去になればなるほどそのお客様の再購入する傾向は低くなる。
■Frequency(フリークエンシー):購買頻度 お客様の親密度
Fが低いお客様が多い場合は、お客様に満足を与えていない可能性があります。
一方、Fが高いお客様は多い場合は、常連客が多いということです。
そのわりにFの低いお客様が少ない場合は、新規のお客様が少ないことになりますので、新規お客様獲得に向けた企画が必要になってくるのです。
- Rが同じならFが多いほどお客様の再購入する傾向が高い。
- Rが過去になればなるほどFが多くても再購入する傾向は小さくなる。
- Mが高くてもFが少ないほど再購入する傾向は少なくなる。
■Monetary(マネタリー):購買金額 お客様ロイヤリティー
Mのランクが高いということは、潜在的な購買力が高いということですから、そうしたお客様が多いことはお店や企業にとっては喜ばしいことです。
そうしたお客様のFやRが上がれば収益に貢献することは間違いないからです。
- Mが多い少ないによって再購入する傾向は判断できない。
- 再購入するかどうかの判断はまずR、つぎにFで判断できる。
- Mが高い場合、そのお客様は購買力があると判断できる。
RFMのランク付けの方法とその特性
次に、RFM各ランクに属するお客様の購買額とその構成比を見てみましょう。
FとMについては、高いランクの方がその人数に比べて金額の構成比が高くなっています。
興味深いのは、Rの構成比です。人数の構成比と比べてみてください。ランク5では8.8ポイント、ランク4では4.5ポイント、増えており、逆にランク3では2.7ポイント、ランク2では6ポイント、ランク1では4.5ポイント減っています。
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各ランクの人数 | 各ランクの人数の割合(単位:%) |
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各ランクの購買額 | 各ランクの購買額の合計(単位:%) |
さらに、RFM各ランクに属するお客様の平均購買額とその倍率を見てみましょう。
当然ですが、FとMは高いランクの方が倍率も高くなっています。
ここでも、注目したいのは、やはりRです。Rは、ランクが高くなるにつれて倍率も高くなります。このことは、Rのランクが高いほど、属するお客様の平均購買額が大きいということを表しています。
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各ランクの平均購入額 | 平均を1としたときの 各ランクの平均購入額の倍率 |
R:最新購入日の重要性
上記のことは、Rのランクが高いほど購入額の大きいお客様が属しているということを表しています。
つまり、お客様のRのランクは、収益の面からも非常に重要になります。
一般的には、以下のようなことが言われています。
- Rのランクが高いほど将来の企業収益に貢献してくれる可能性が高い
- Rのランクが低ければFやMのランクが高くても他社に奪われている可能性が高い
- Rのランクが同じならFのランクが高いほど常連客
- Rのランクが同じならFやMのランクが高いほど購買力があるお客様
- RやFのランクが高くてもMが少ないお客様は購買力が低い
- Fのランクが低くMが高いお客様はRの高いほうが良いお客様
- Fのランクが上がらないか下がっているお客様は他社に奪われている可能性が高い
- RFM全てが低いお客様は切り捨ても検討
RFM分析で最も重要なのはRであり、FやMが高くても最近購買実績がないお客様は既に競合他店に奪われてしまっている可能性が高いと考えられます。
つまり、Rの動きが各お客様の動向を把握する上で非常に重要であり、Rのランクが下がり始めた段階で、営業的なアプローチを行えば他店に奪われなくて済むかもしれないのです。
Rのランクが下がりはじめたお客様には、また購入してもらうための企画が必要となりますし、Fが伸びないお客様も同様です。
Mのランクが低いお客様は、Fを注目する必要があり、Fが高いランクの場合は潜在的に購買力が低いと考えられますので、将来的な企業収益貢献度は低いと考えられますが、Fのランクが低くMのランクが高いお客様は購買力が高い可能性がありますので、
購買頻度を高める企画を実施すればいいことになるのです。
RFMクロス集計 あなたはどう動く?
お客様とのコミュニケーション RFクロス集計
どんな基準で分類したとしても、555の顧客が良いお客様であることは説明の余地はありません。
また、111の顧客も良いお客様でないことは分かると思います。
しかし、432のお客様と324のお客様はどうなのといわれるとよく分かりません。
そこで、RFMそれぞれの持つ意味をふまえて、その中の2つの要素でクロス集計してみました。
まずは、RとFです。Rは来店(再購入)可能性、Fはお客様との親密度をそれぞれ表しています。
よって、RFはお客様の定着の度合いを示すことになります。
下の図を見て下さい。
それぞれのマスに属するお客様の特性から、9つのグループに色分けしてみました。
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(ホットなグループ) | |
ファン客 | 購買頻度も多く、直近に来店もしている。いわゆるお店のファン。 |
満足客 | 直近に来店しており、購買頻度も増加しつつあります。ファン客へと育成できる可能性が強いお客様です。 |
試み客 | 直近に来店してはいるが購入回数が1回、つまり新規客です。 |
(ウォームなグループ) | |
不満発生客 | これまでファン客だったが、何らかの理由で店に不満を感じ、足が遠のいているお客様です。再度の来店を促す必要があります。 |
事情発生客 | 何らかの事情が発生し、購入頻度が増えかける前に足が遠のいているお客様です。ホットなグループに引き上げる必要があります。 |
無関心客 | 以前に1度購入しただけで、最近まだリピートしていないお客様。何かしないと、今後リピートする可能性は少ないといえます。 |
(クールなグループ) | |
不信客 | 過去に不満発生客ったが、何らかの理由で完全に店から離反してしまったお客様。離反した原因を突き止めることにより再発防止策を検討する必要があります。 |
不満客 | 過去に事情発生客だったが、何らかの理由で店から離反してしまったお客様。不信客よりは、再来店する可能性はあります。 |
よそのひと | 過去に試みの購入をしたが、結局定着しなかったお客様。元々他のお店のお客様です。 |
コミュニケーション事例
それぞれのグループ対して1to1マーケティングを行うことで、お客様をFSFSグループに近づける必要があります。
以下にその一例を挙げます。
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お客様への特典バリュー RMクロス集計
割引や還元など、お客様へ提供する特典も、全て同じというわけには行きません。
特典バリューを考えるときの指標として、RMクロス集計を使うことができます。
下の図を見て下さい。お客様の特性から、4つのグループに色分けしてみました。
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特典バリュー | |
プラチナ客 | リピートの確率も高くお店へのロイヤリティーも高いということです。 思い切ったプレゼントを提供してもかまいません。 |
ゴールド客 | リピートの確率も高くロイヤリティーもある程度高いお客様です。 購入金額に応じた特典を提供したり、割引率を設定したり、ハードバリューで還元することでよりロイヤリティーが高まります。 |
シルバー客 | 今後の期待を込めて、最低限の特典バリューを用意します。 |
一般客 | 特に特典を提供する必要はありません。 |
お客様の待遇 FMクロス集計
実際にお客様がお店に来店した時の接客対応も、お客様によって変える必要があります。
これは、接客態度でお客様を差別すると言うことではありません。
サービスの内容を差別するのです。
待遇を考えるときの指標として、FMクロス集計を使うことができます。
下の図を見て下さい。お客様の特性から、4つのグループに色分けしてみました。
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ランク | MS | MA | MB | 総計 | ||
FS | プラチナ客 10人 0.6% |
ゴールド客 18人 1.1% |
一般客 365人 23.1% |
28人 1.8% |
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FA | ゴールド客 10人 0.2% |
シルバー客 281人 17.8% |
656人 41.5% |
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FB | 新規客 897人 56.7% |
897人 56.7% |
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総計 | 20人 1.3% |
346人 21.9% |
1,215人 76.8% |
1,581人 100.0% |
お客様の待遇 | |
プラチナ客 | 購入回数も購入額も多く、いわゆるVIP待遇を提供することで、ロイヤリティーがますます高まります。 |
ゴールド客 | 購入回数も購入額も多くお客様自体は常連の意識があるかもしれません。 客離れを防ぐためにも特別待遇をする必要があります。 |
シルバー客 | 購入回数も購入額もまあまあなお客様です。 今後ゴールドまたはプラチナになる可能性があるので、ある程度の待遇をすべきです。 |
一般客 | 特別待遇をする必要はありません。 |
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